院長コラム
 こどもの感染症

こどもの感染症のほとんどは、特別な治療は必要ないウイルス感染症です。予防接種(特にヒブワクチン、肺炎球菌ワクチン)が普及し重症な細菌感染症は急激に減りました。以前は発熱時に細菌感染症を心配し、抗菌薬が使用されることがありましたが、ウイルス感染症には抗菌薬は無効で、むしろ抗菌薬による体への悪影響のほうが心配です。抗菌薬が必要かどうか、厳密に判断する必要があります。

熱が出て咳や鼻水が出る、いわゆるかぜはウイルス感染症です。多くの場合、時間が経てば自然に回復します。抗菌薬は使用せず、症状を和らげる治療(適切な体温管理や鼻水の吸引)を行いましょう。

新型コロナウイルス感染症もこどもにとっては軽い風邪の一つです。重症化することはまずありません。また、ほとんどは同居家族からの感染です。周囲の大人が感染しないよう、ワクチン接種を行い、感染対策を心がけましょう。

胃腸炎(嘔吐下痢)も多くはウイルス感染症で、特別な治療は必要なく、脱水症に注意し効果的な水分摂取(経口補水)を行うことで自然になおります。一部、細菌感染(食中毒)の場合もありますが、その場合もほとんどが自然に回復します。

主な感染症の登園禁止期間

インフルエンザ
発症後5日かつ解熱後3日(小学生以上は2日)経過するまで
百日咳
特有の咳が消失するまで、または抗菌薬での治療後5日経過するまで
おたふくかぜ
耳下腺の腫脹がでて5日経過するまで
水ぼうそう
すべての発疹が痂皮化するまで
咽頭結膜熱(アデノウイルス)
発熱、目やになどが落ち着いた後2日経過するまで
溶連菌感染症
抗菌薬での治療開始後24時間経過するまで
感染性胃腸炎
嘔吐や下痢が消失するまで

登園禁止期間にどうしても保育が必要な場合は、病児保育が利用できます。福岡市内の方は2000円です。