多くの人々が待ち望んでいたヒブワクチンと肺炎球菌ワクチンワクチンが無料で接種できるようになりました。しかし、この２つのワクチンの接種後の死亡報道が相次いで、保護者に不安を与えています。マスコミの報道内容にも問題があると考え、再度私の意見を述べます。

予防接種の「本当の副反応」とは？

　予防接種の「本当の副反応」で最も多いのは接種部位の発赤や腫れです。発熱も数パーセントでみられますが、２４時間以内で解熱します。重大なものには接種直後のアレルギー反応によるショックがあります。生ワクチンではもとの病気と同じ症状が軽くみられることがあります。麻しんワクチン後の１週間目に発熱が２％みられます。おたふくかぜワクチンでは自然感染で１％程度みられる無菌性髄膜炎が０．０５％でみられます。

赤ちゃんの突然死（ＳＩＤＳ）

　健康な赤ちゃんが突然亡くなることがあり乳幼児突然死症候群（ＳＩＤＳシズ）と呼ばれていて、呼吸の発達が未熟なことが原因とされています。不幸にも１歳までに亡くなる赤ちゃんは年間２５００人にもなりますが、ＳＩＤＳだけで２５０人～５００人が亡くなります。ＳＩＤＳは生後２ヵ月から６ヵ月までにみられ、この期間の赤ちゃんが毎日２～３人も亡くなっています。

ワクチンと「紛れこみ事故」

ワクチンと関係のない４ヵ月健診でも受診後の３日間に５～１０名が毎年ＳＩＤＳで亡くなっています。同様に生後６ヵ月までの赤ちゃんにワクチンを接種すると、その後の３日間に５～１０名が毎年ＳＩＤＳで亡くなることになります。この死亡は「本当の副反応」ではなく、ＳＩＤＳの「紛れ込み事故」なのです。生後半年までに接種する全ての予防接種(BCG,三種混合,ポリオ)でも同じ「紛れ込み事故」が起こります。ワクチンの同時接種を心配して個別に接種すればワクチンの接種回数が増え、ＳＩＤＳの「紛れ込み事故」が増えることになります。三種混合・ヒブ・肺炎球菌ワクチンを同時に３回接種した場合、ＳＩＤＳによる紛れ込みは年間１５～３０名程度ですが、３つのワクチンを個別に接種すると、この３倍の４５～９０名程度が紛れ込み事故により死亡することになります。

マスコミは「世界の事実」を伝えて！

日本では海外では消え去ったヒブや肺炎球菌による髄膜炎が毎年１千人、菌血症が２～３万人も発症しています。１００カ国を超える国々では１０年～２０年も前からヒブや肺炎球菌、三種混合、不活化ポリオなどを含む５～６種類のワクチンが同時接種され、多数の調査から安全性が確認されています。今回のような不幸な死亡事故も、避けることのできないＳＩＤＳの「紛れ込み」だと理解されています。マスコミはヒブや肺炎球菌ワクチンが数億人の子どもたちに同時接種され安全性が確立されている「世界の事実」を伝えて欲しいと思います。海外と同様に全ての赤ちゃんにヒブや肺炎球菌の同時接種をおすすめします。

ふかざわ小児科　院長　深澤　満