●予防接種と副反応

　ヒブワクチンと肺炎球菌ワクチンの接種が一時中断されていました。理由はこの2つのワクチンと三種混合やBCGとの同時接種の後3日以内に5名が死亡したためです。

●予防接種の副反応とは？

　予防接種の副反応で最も多いのは接種部位の発赤や腫脹です。重大なものには接種直後のアレルギー反応によるショックがあります。　 　生ワクチンではもとの病気と同じような症状が軽くみられることがあります。麻しんワクチンの後1週間目に発熱が2％でみられます。おたふくかぜワクチンでは自然に治る無菌性髄膜炎が0.05％でみられますが自然感染での1％よりもはるかに少なくなります。さらに，自然感染後に0.1％で発症する難聴を予防するためにおたふくかぜワクチン接種が勧められています。ポリオの生ワクチンでは100万回接種で2～3例に麻痺がみられます。この麻痺は生涯続くこと，現実にポリオの流行が無いことから麻痺の心配がない不活化ポリオワクチンの導入が望まれています。 　しかし，通常はワクチンの副反応が疑われても因果関係を証明することはできません。

●赤ちゃんの突然死（SIDS）

　健康な赤ちゃんが理由も無く突然亡くなることがあり乳幼児突然死症候群（SIDSシズ）と呼ばれています。不幸にも1歳までに亡くなる赤ちゃんの数は年間2500人にもなりますが，SIDSで250人～500人（多くは生後半年まで）が亡くなります。SIDSによる死亡は生まれつきの障害，事故についで多く，死因の3番目になります。

●突然死とワクチンの副反応

　ワクチンに副反応がないとしても，生後半年までの赤ちゃんにワクチンを1回接種すると，ワクチン接種後3日以内に年間2～4名が偶然SIDSで死亡する計算になります。ヒブや肺炎球菌ワクチンは3回接種のため，毎年6～12名が接種後3日以内にSIDSで死亡することになります。これは生後半年までに接種する全ての予防接種（BCG，三種混合，ポリオ）でも同じです。

●ヒブ・肺炎球菌ワクチンは安全です

　ヒブワクチンや肺炎球菌ワクチンは多くの国で10年～20年前から他の複数のワクチンと同時接種されてきました。総接種本数は数十億本にもなり，多数の調査からこのワクチン自体の安全性や同時接種の安全性が確認されています。今回の不幸な死亡例は，ワクチン接種後のSIDS等の紛れ込みだと判断されています。全ての赤ちゃんにヒブワクチンと肺炎球菌ワクチンの同時接種が勧められます。