院長コラム

家庭と外来医との連携

こどもの発熱(病院のかかり方)一般小児科

 最近子どもを入院させることが減ってきました。今のお母さんは子どもが入院となっても付き添うことができにくいため、外来での治療を希望されることも理由の一つです。

 しかし、もっと大きな理由は家庭と外来医との連携です。従来は入院が必要とされた病気でも、家庭と外来医との協力で高度な治療が可能になってきたのです。

 嘔吐下痢症は脱水に対する知識が普及し、家庭で早期に適切な対応がされるようになってきました。このため重症の脱水症はほとんどなくなり、外来で点滴をするだけで十分対応できるようになっています。

 肺炎も入院が原則とされていました。しかし最近は乳児などの重症例を除けば外来で治療できるようになっています。血球計測器やCRP測定器の普及で検査結果が病院よりむしろ早くわかり、早期に診断ができるようになりました。このため重症の肺炎は激減し、外来での抗生剤の点滴注射による治療がごく普通のことになってきました。

 喘息も従来は入院が多い病気でした。しかし乳児の重症喘息を除けば現在ではほとんど外来で対応できるようになっています。家庭では喘息の状態が簡単にわかるピークフローという器具や吸入器具の普及で両親が子どもの喘息を適切に管理できるようになってきました。また外来では血液中の酸素濃度を採血せずにパルスオキシメータで瞬時に測れるようになり、喘息の重症度が正確に判断できます。このためより適切な外来治療ができ入院を大きく減らせるようになりました。

 このように今では家庭と連携することで小児科外来でも高度の医療ができるような時代になっています。しかしこのためには両親の子どもの病気についての理解と治療への協力が必要なのです。

 外来での小児科医の最も大切な役割は両親への家庭看護のついての十分な説明になってきました。

※ 本コラムの掲載内容は当時の小児医療から記載しているものです。現状と異なる場合もございますので、ご了承ください。