院長コラム

子どもが病気のときの病院選び

こどもの発熱(病院のかかり方)一般小児科心臓の病気川崎病の主な原因

 子どもの健康や発達にとって、3歳までは特別な時期です。しかし、日本ではこの時期の子ども達への薬の過剰投与が問題になっています。3歳までの子どもは必ず小児科の専門医を受診させてください。「内科・小児科」の先生は大人の内科が専門です。「耳鼻科」や「皮膚科」の先生も子どもの専門家ではありません。子どもの専門家は「小児科医」だけです。

熱がでたとき

 カゼが一番多い原因ですが、高熱のときは重症の「菌血症」や「尿路感染症」などがあり血液や尿検査が必要になります。高熱のときは必ず小児科の専門医を受診させてください。

カゼ症状(咳や鼻水)があるとき

 生まれてから6カ月までは、咳止めや鼻水止めなどのカゼ薬は突然死の誘因になることがあるためできるだけ使わないでください。日本では規制がありませんが、米国では禁止されています。抗ヒスタミン薬(ペリアクチン、ポララミンなど)が鼻の薬として大人と同じように使われていることがありますが、抗ヒスタミン薬は脳の発達に影響し、痙攣の原因となることがあります。鼻づまりがひどければ、洗浄液を使って鼻水を吸引してください。

中耳炎や副鼻腔炎のとき

 中耳炎や副鼻腔炎は、咳や鼻水などと同じカゼの症状の一つです。自然に治るため、抗生剤はほとんど必要ありません。耳だれが出たときも、耳を洗いガーゼの付け替えだけでほとんどが治ります。鼓膜切開は海外では効果がないとして既に行われていない治療です。子どもの滲出性中耳炎や副鼻腔炎に抗生剤(クラリスなど)の長期治療が行われていますが、効果はなく、副作用が心配です。

抗生剤は極力さける

 日本の子どもは、海外の10倍もの抗生剤を飲んでいます。また、使われている抗生剤も海外では認められていない強力なオゼックスやオラベネムなどが使われています。抗生剤は体重の2%にもなる腸内細菌を広範囲に破壊するため、いろいろな病気の原因となります。その代表と考えられる病気が「川崎病」です。

川崎病とは?

 川崎病は50年以上前に日本で初めて発見された子どもの病気です。子どもの心臓の血管に瘤ができて血液がつまり心筋梗塞で突然死することがあります。日本の子どもに多く、海外ではほとんどない不思議な病気です。毎年増え続け、現在は年間2~3万人も罹っています。原因は不明でしたが、抗生剤を飲むことで腸内細菌が破壊されて、本来は腸に住めない細菌が腸内に容易に侵入できることが原因だと考えられるようになってきました。日本に多いのは、日本の子どもが大量の抗生剤を飲まされているからです。

病院選び

 子どもが病気のときは、できるだけお薬が少ない小児科専門医を受診させてください。絶対に必要なとき以外には子どもに抗生剤を飲ませてはいけません。

※ 本コラムの掲載内容は当時の小児医療から記載しているものです。現状と異なる場合もございますので、ご了承ください。