院長コラム

初めて(2カ月から)の予防接種は「小児科専門医」で

ワクチン(予防接種)乳幼児健診

 赤ちゃんが生まれて2カ月目から予防接種が始まります。2カ月で受ける予防接種はヒブ、肺炎球菌、B型肝炎ワクチンなどです。
 赤ちゃんの1カ月健診は産科のクリニックでお母さんの健診と同時に行われていることが多いようです。このため、2カ月の予防接種が、赤ちゃんにとって初めて小児科のクリニックで小児科専門医に診てもらう大事な機会となります。

小児科専門医ってなに?

 日本小児科学会が認定した小児科医のことです。認定された小児科で5年以上小児科の研修を行い、さらに厳しい小児科専門医試験に合格する必要があります。また、5年ごとに更新しなければなりません。小児科専門医とは文字通り子どもの医療の専門家です。
 現在は小児科専門医でない他の科の医師も、クリニックの名前に専門の○○科だけでなく、○○科・小児科と自由につけることが認められていて、クリニックの名前だけではわかりません。また、子どもの予防接種も何科の医師でもできます。
 各地の小児科専門医の氏名はネットで「小児科専門医」と入力して簡単に検索できます。

2カ月の予防接種は小児科専門医で!

 2カ月の予防接種は特別な機会です。お母さんも、この2カ月の予防接種を、ただ予防接種を受けるだけではなく、赤ちゃんの2カ月健診を受けることができる大切な機会と思ってください。

 私たち小児科専門医も2カ月の予防接種を重要な乳児健診だと考えています。さらに、集団健診ではなく自分のクリニックで行える健診なので、必要な検査も直ちに行うことができます。
 2カ月の予防接種は子どもの重要な病気の見逃しを避けることができる大切な機会なのです。

 1カ月健診では、赤ちゃんが生まれて間もないため、お産の影響も残っていてなかなか十分な健診はできません。1カ月健診で見逃されやすい病気には、「あざ」や「臍ヘルニア」(ともに年間10万人程度発症)、「股関節脱臼」(2千人程度)、「心臓病」(3万人程度)、「胆道閉鎖」(200人程度)などがあります。「あざ」の一部は生後2カ月であれば完全に消すことができます。手術となることもある「臍ヘルニア」もこの時期であれば圧迫療法が有効です。股関節脱臼もエコーで診断して予防ができます。軽度の黄疸でも2カ月を過ぎていれば胆道閉鎖などの重大な肝臓の病気の可能性があるため、すぐに検査が必要となります。このような病気を見逃さないためにも2カ月の予防接種は小児科専門医がいる小児科クリニックで健診も同時に受けてください。

 近くに小児科専門医がなく内科などで予防接種を希望される方も、最初の2カ月の予防接種だけは小児科専門医での接種をおすすめします。

※ 本コラムの掲載内容は当時の小児医療から記載しているものです。現状と異なる場合もございますので、ご了承ください。