院長コラム

子どもに蓄膿症(副鼻腔炎)はありません

耳鼻の病気副鼻腔炎

●副鼻腔とは?

副鼻腔は頬(ほお)の内側にあり、鼻とつながっています。鼻の粘膜から鼻水がでるときは副鼻腔の粘膜からも鼻水がでて鼻へ流れていきます。大人では副鼻腔と鼻が別の部屋に分かれていますが、子どもでは副鼻腔が小さく鼻と一体になっています。(図1)

●大人の副鼻腔炎

大人では副鼻腔と鼻の通路が狭いため塞がってしまい、副鼻腔の内圧が高くなることがあります。これが「副鼻腔炎」で顔の不快感や痛みなどの症状がみられます。

●子どもに副鼻腔炎はありません

子どもでは鼻と副鼻腔が一体なので鼻と副鼻腔を分ける必要がありません。カゼのときには鼻水が副鼻腔にも溜まりますが、子どもでは副鼻腔の閉塞による「副鼻腔炎」は決してみられません。

●カゼのときの副鼻腔は?

カゼの子どもの副鼻腔をMRでみた研究があります。図2のAが正常の子どもの副鼻腔で、空気が入っているため黒く見えます。図Bはカゼのときの副鼻腔で、鼻水が溜まって白く見えます。普通のカゼでも子どもの70%以上は副鼻腔に鼻水が溜まりますが、2週間以内に自然に正常に戻ります。

●副鼻腔炎の診断は必要?

子どもで副鼻腔炎の診断をする必要はありません。小学生までは大人のような「副鼻腔炎」がないためです。米国では子どもの副鼻腔炎の診断のためのレントゲンやCTなどの検査は、不必要な放射線被曝を避けるため禁止されています。被爆がない検査にはエコーがあります。

●青ッパナはバイ菌?

青ッパナが出ると細菌が原因の蓄膿症と思われているお母さんも多いようですが、これは間違いです。鼻水がでて時間がたてば白血球が増えて色が青緑に見えるようになります。

●副鼻腔炎の治療は必要?

鼻水が出ている子どもに副鼻腔炎と診断して、抗生剤(抗生物質)を飲ませる理由はありません。鼻水で鼻の通りが悪くて呼吸がしにくければ、鼻を洗浄液で洗い、鼻汁を吸引してください。吸引器は1000円程度で市販されています。

※ 本コラムの掲載内容は当時の小児医療から記載しているものです。現状と異なる場合もございますので、ご了承ください。