院長コラム

10か月健診を受けましょう!

乳幼児健診

 乳幼児健診には、個別健診(かかりつけの小児科での健診)と集団健診(保健所や役場などでの健診)があります。地域によって健診の時期や個別・集団の違いがあります。福岡市では集団健診が4か月、1歳6か月、3歳の計3回ありますが、個別健診は10か月の1回だけです。私たち小児科医は個別健診だけでなく、保健所での集団健診にも参加しています。しかし、集団健診では時間や診療機器が不十分です。重要な病気の見逃しの不安もあり、乳幼児健診を全て個別健診にすることが望まれます。このため、唯一の個別健診である10か月健診はとても大切なのです。

●当院での10か月健診

 身体測定、身体の診察、発達の評価、超音波検査、視力検査、貧血検査、看護師の指導としています。

発達の評価:
九大式発達検査表に記入してもらいます。運動(移動運動、手の運動)、社会性(基本的生活習慣、対人関係)、言語(発語、言語理解)の6項目についての発達状況がよく解ります。遅れが気になる項目があるときは1か月後に再診としています。

聴力検査:
音に対する反応をみています。気になるときにはOAEと呼ばれる器械で聴力検査を行います。滲出性中耳炎がよく見つかりますが、ほとんどは2~3か月で自然に治っていきます。新生児期の検査で見逃された先天性の難聴が稀に見つかることもあります。

超音波検査(エコー検査):
おもに股関節、腎臓、肝臓、心臓をみています。【股関節】4か月健診で見逃された股関節脱臼が見つかることがあります。【腎臓】水腎症などの異常はよく見られますが軽症例がほとんどです。ときには重症の水腎症が見つかります。【肝臓】先天性の肝臓病が見つかることがあります。【心臓】心臓の動きが悪い心筋症や心筋炎が見つかることがあります。私は4か月健診で全ての児にエコー検査を行うべきだと思っています。しかし、現在の集団健診では不可能です。

看護師の指導:

事故の予防や予防接種のスケジュールについて個別に説明しています。

私からの話:
主な内容を紹介します。【熱が出たとき】すぐに病院を受診する必要があるときはどんなときでしょうか?【予防接種の必要性】特にヒブワクチンと肺炎球菌ワクチンがなぜ必要なのでしょうか?【抗生剤が必要なとき】不必要な抗生剤の使用には害があります。では、どんなときに抗生剤が必要なのでしょうか?

 当院では週2回、14時から90分間で5~6人を対象に10か月健診を行っています。この程度の時間がないと十分な健診はできません。福岡市の10か月健診の受診率は90%程度です。ぜひ、全てのお子さんが10か月健診を受けられることをお勧めします。

※ 本コラムの掲載内容は当時の小児医療から記載しているものです。現状と異なる場合もございますので、ご了承ください。