子供(子ども)の主治医は小児科医です
先日、お母さんが「かかりつけの耳鼻科が休みだったので…」と、高熱の子ども(こども)をつれてこられました。診断は「菌血症」という重症の病気でした。カゼと診断して対応していれば命に係わることもあります。かかりつけの耳鼻科の先生のところへつれていったら困られたと思います。医師法では受診した患者の診察を断われないからです。子どもが病気のとき、何科へつれて行くのがよいのでしょうか?私の答えは小児科です。成人の病気の多くは治りにくく長期の管理や治療が必要です。しかし、同じ病名の病気でも子どもでは自然治癒することが多く、成人と同じ治療を行うと過剰な治療になってしまいます。また、子どもの病気は急変することがあるため注意が必要です。
喘息では
成人喘息は長期の治療が必要で治療を中止することは通常ありません。子どもの喘息の多くは自然に治っていきます。このため、治療を中止する時期を正しく判断することが大切で、数ヶ月ごとの治療の見直しが必要となります。しかし、突然の発作のときの対応を教育することも大切です。
副鼻腔炎(蓄膿)では
成人の副鼻腔炎は顔面の痛みが強く、ほとんど抗生剤による治療が必要となります。子どもでは副鼻腔炎はありふれた病気です。普通のカゼでもにレントゲンやCTで調べると60%ほど副鼻腔炎が見つかります。しかし、治療しなくても2週間程度で自然に治ります。痛みなどの症状があり、抗生剤が必要な副鼻腔炎は極めて稀です。
中耳炎では
子どもの熱で中耳炎が心配されます。しかし、中耳炎のときの熱はカゼによるもので、中耳炎が原因となる熱は事実上ありません。特に39℃をこえる熱が中耳炎で起こることはありえません。高熱のときは必ず小児科で原因を調べてもらいましょう。中耳炎があっても、菌血症(血液に細菌が侵入している)などの他の重症な病気が発熱の原因となっていることがあります。もちろん小児科でも耳を見てもらうことは大切です。
アトピー性皮膚炎では
成人のアトピー性皮膚炎は完全に治ることはなく長期の継続的な治療が必要です。子どものアトピーは自然に治っていきます。このためどのような治療を行っても治る時期(予知することはできませんが)は変わりません。このことを知らないと過剰に心配したり、過剰な治療となったりします。
小児科へ行こう
子どもが病気のときに小児科以外を受診されることも多いようです。しかし、私はまず小児科を受診されることをお勧めします。小児科医は子どもの発達にともなう病気の経過をだれよりもよく知っているからです。また必要なときは、小児科医から他の科を紹介してもらうことが賢い病院の受診のしかただと思います。