大きななやみ・小さななやみ おねしょ(夜尿症)
おねしょは大変だけど
子どものおねしょで悩んでいるお母さんも多いのですが、子ども自身も悩んでいるのです。子ども心にもおねしょは重大問題なのです。小児科の外来で夜尿の相談が増えるのは、保育園のお泊り保育・小学校入学それに修学旅行前です。ただ、修学旅行中におねしょをする子は実際にはいません。
おねしょはいつまで続く?
子どもがおねしょをしなくなるのは3~5歳くらいです。しかし、2歳前から2階の寝室から1階のトイレに1人で歩いて行く子もいれば、中学生でもおねしょをしている子もいます。大学病院に勤務していたとき、同僚の小児科医(全員男性)に何歳までおねしょをしていたのか聞いてみたことがあります。約半数は小学校高学年までおねしょをしていたことを告白しました。これはちょっと多すぎるようですが、とにかく子どものおねしょが終わる時期には個人差が大きいことをわかってほしいのです。
おねしょは病気?
小児科におねしょで受診する子どものほとんどは、生まれてからずっとおねしょが続いています。人間の睡眠は生まれてからの発達にともない、だんだん浅くなっていきます。このため膀胱充満の刺激で目覚めるようになります。しかし、おねしょをする子は眠りが深く、夜間に起こしてもなかなか起きません。また普段おねしょをしない子も疲れて睡眠が深くなるとおねしょをすることがよくあります。このようにほとんどのおねしょは病気でもなく、心理的なことが原因でもありません。たんに睡眠発達の少しの遅れに過ぎません。親の育て方に原因があるのではと悩んだり、逆にだめな子だと叱っても意味はありません。ただ親にも多少の責任はあります。おねしょにはかなり遺伝性があり、特に父親に似ることが多いようです。
おねしょの治療は?
おねしょに対する3原則はあせらず、おこらず、起こさずです。とは言っても毎日のおねしょでは親も本人も大変です。お薬による1~2ヵ月の治療(睡眠を浅くする薬)も治るきっかけになることもあります。私は子どもに秘密の呪文?を教え、寝る前に3回唱えさせています。そしてカレンダーに自分で結果を記録させ次回の受診の時に持ってきてもらっています。これだけでも半数以上は治ってしまいます。しかし、これでも治らないときはどうするか? しばらく待ってみてください。必ず治ります。