院長コラム

授乳・妊娠中のお母さんと薬

乳幼児健診アレルギー

授乳中や妊娠中のお母さんから薬についての相談をよく受けます。原則は「必要の無い薬は飲まないこと」と「必要な薬のみだけ飲む」ことです。この際、できるだけ安全性の高い薬を選んでください。また、必要以上に心配して、医師に相談せずに母乳を中断したりしないでください。

授乳と薬

授乳中に飲んでいけない薬は多くはありません。ただ、できるだけ薬が母乳中に移行しないように、授乳の後に薬を内服するのがよいでしょう。
相談が多い薬について説明します。
解熱剤 ほとんどの解熱剤は母乳への移行が少なく安全とされています。とくに安全性が高い解熱剤はアセトアミノフェン(カロナールなど)です。
総合感冒薬:市販されている風邪薬に問題はないようです。ただ、咳止めにコデインが入っている薬は避けてください。
抗生剤:ほとんどの抗生剤は安全です。
ただ、赤ちゃんの歯や骨の発達に影響する可能性があるテトラサイクリン系の薬(ミノマイシンなど)やキノロン系の薬は避けてください。
抗うつ剤:ほとんどが安全とされていますが、医師に相談してください。
そのほか、下痢止め、便秘薬、喘息薬、降圧剤なども問題はありません。

妊娠と薬

妊娠初期は胎児が薬の影響を非常に受けやすい時期なのです。このため、妊娠3週から10週まではなるべく薬を飲むことは避けたほうがよいでしょう。しかし、赤ちゃんに悪い影響を与えることがはっきりしている薬は多くはありません。また、安全性が証明されている薬も多くはありません。
質問が多い薬について説明をします。
解熱剤:解熱剤は妊娠後期に母親が内服すると赤ちゃんに問題が起こる可能性があります。妊娠後期には、安全性が高いアセトアミノフェン(カロナールなど)を使用してください。
降圧剤:血圧を下げる薬はたくさんあります。この中で、ACE阻害剤など避けたほうがよい薬もあります。代わりになる薬はたくさんあるので、医師と相談してできるだけ安全な薬を選んでください。
抗けいれん剤:一部に赤ちゃんに影響しやすい薬があります。主治医と十分相談して安全な薬を選んでください。
喘息薬:喘息の予防や治療に使う吸入薬は安全性が高いことが知られています。吸入薬で予防して発作を起さないことが大切です。
抗アレルギー薬:アレルギー性鼻炎などに使われます。昔から使用されている薬の多くは安全性が確かめられていますが、新しく開発された薬ほど安全性がはっきりしません。安全性が確かめられている薬を使うようにしてください。
抗うつ剤:ほとんどの薬は安全なようですが、主治医と相談してできるだけ安全な薬を選んでください。

妊娠と薬情報センター

東京の国立成育医療センターに「妊娠と薬情報センター」が開設され、誰でも電話相談ができるようになりました。相談を希望される方は、ホームページの利用方法に従ってご相談ください。
http://www.ncchd.go.jp/kusuri/index.html

※ 本コラムの掲載内容は当時の小児医療から記載しているものです。現状と異なる場合もございますので、ご了承ください。