院長コラム

子供(子ども,こどもの)脱水と経口補液

こどもの感染症

子ども(こども)は、よく吐いたり、下痢をしたりします。特に、乳幼児は年長児に比べて体内の水分の割合が高いため、下痢や嘔吐で簡蛍に「脱氷」を起こします。最近は、誰でも「脱水」という言葉を知っているため、「脱水」で子どもが亡くなることは皆無ですが、脱水の正しい理解はまだのようです。

脱水の症状は?

秋から春にがけて流行するノロウイルスやロタウイルスに感染すると、ひどい嘔吐や下痢が起こります。下痢で水分がたくさん出ていくのに、嘔吐があるため十分な水分が取れないと脱水が起こります。脱水になると、口の中は乾燥し、皮膚も張がなくなりかさかさしてきます。ひどくなると尿も出なくなり、ぐったりとして動けなくなることもあります。

電解質とは?

脱水のときは、血液中の水分だけでなく電解質(NaやKなど)が胃液や腸液として大量に失われます。ただ、胃液や腸液の電解質濃度は血液に比べて低いため、血液中の水分が減少し、電解質濃度は逆に高くなります。しかし、最近は脱水のときに水分を与えることが普及しているため、実際には血液中の電解質濃度は正常か、やや低いことがほとんどです。電解質の異常があると、痙攣などを起こすことがあります。

脱水の治療は?

脱水の治療には、電解質を含む液(電解質液)を「点滴輸液」をする方法と、口から飲ませる「経口補液」の方法があります。従来は、外来で点滴輸液をすることが多かったのですが、最近は、重症の脱水症以外は、口から電解質液を飲ませる「経口補液」が増えてぎました。理由は、家庭でも簡単にできることと、安全性が高いためです。ただ、重症の脱水の時にはやはり「点滴輸液」が必要です。

何を飲ませるの?

経口補液用の電解質液として、医師が処方できる「ソリタ顆粒」、あるいは市販の「アクアライト」や「OS-1」などがあります。これらの電解質液には、氷分、電解質、それに糖が含まれています。特に、ゼリータイブの製品は、一度に大量に飲めないため、嘔吐のとぎに与えても吐きにくく、非常に役に立ちます。

スポーツドリンクは?

スポーツドリンクも水分、電解質、糖を含んだ「電解質液」ですが、汗で失った水分と電解質を補う目的で作られています。このため電解質濃度は経口補液用に比べて低く、脱水のときに与えると、血液の電解質濃度が低くなることがあります。経口補液用として大量に使用しないでください。お茶や水も同じ理由で単独で大量には与えては
いけません。

実際の方法は?

嘔吐があるときは、経□補液用の「電解質液」を、ちびちび、ゆっくり、休みなく飲ませてください。そして、嘔吐が治まったら、下痢が治まるまで好きなだけ告えてください。

電解質液は健康食品?

電解質液を、健康食品と勘達いして、乳幼児に日常的に与えているお母さんがいます。スポーツ用にしろ、経口補液用にしろ「電解質液」には必ず糖分が含まれているため、ひどい虫歯になることがあります。また、糖分の過剰摂取のため、他の食品を摂らなくなることがあります。このため、ビタミン欠乏による脚気で亡くなった子どもさんを経験したことがあります。電解質液は健康食品ではありません。

※ 本コラムの掲載内容は当時の小児医療から記載しているものです。現状と異なる場合もございますので、ご了承ください。