院長コラム

子供の湿疹はアトピー性皮膚炎?

アトピー性皮膚炎アレルギー皮膚の病気

わが子に湿疹ができると心配して「アトピー性皮膚炎(以下アトピーと記載)ですか?」とよく相談されます。アトピー性皮膚炎(アトピー)の医学上の診断基準はいくつかありますが、基本は「ある程度持続している湿疹」のことです。実際には、子ども(こども)に湿疹があればほとんどアトピーと診断されているようです。
しかし、アトピーと診断されても、湿疹と診断されても実際の対応には違いはありません。

治せません。待つだけです。

ほとんどのアトピーは皮膚が強くなっていくために自然に治ります(稀な例外はありますが)。
治療をしてもしなくても、時期がくれば自然に治るのです。ただ、この治る時期は遺伝で決まっているので、神様以外に知ることはできません。全ての治療法(飲み薬や塗り薬など)には一時的な効果しかありません。それでもひどい湿疹やかゆみを抑えて快適な生活が送れる程度にはできます。
 アトピーに対して高額な民間療法が成り立つのは、アトピーが必ず治る病気だからなのです。どんなにお金つぎ込んだ両親でも、絶対に満足させることができる賢い?ビジネスなのです。

アトピーの原因は食物アレルギー?

食物アレルギーとは特定の食品を食べると蕁麻疹などができる体質のことで、食物アレルギーとアトピーは決して同じではありません。ただ、1~2歳までは食物アレルギーとアトピーが同時にみられることがよくあります。
 アトピーの原因は皮虐が弱いことです。いろんな誘因、例えば「よだれ」や「汗」や「服の刺激」などで湿疹ができます。食物アレルギーもこの誘因の一つなのです。食物アレルギーがある赤ちゃんでは、お母さんが食べた卵や牛乳などが母乳から入って湿疹がひどくなることがあります。ただ、もともと皮虐が弱いので卵や牛乳を完全に除去しても湿疹がなくなるわけではありません。また、1~2歳を過ぎるとほとんどの食物アレルギーは消えていくため、食物制限の必要もなくなっていきます。

ステロイド剤は必要?

アトピーの治療で使われる塗り薬には保湿剤とステロイド剤があります。保湿剤は湿疹になるのを予防しますが、湿疹を治す効果はありません。ステロイド剤は、適切な使用法であれば安全性に問題は無く最も育効な薬です。
ステロイド剤を心配される両親もおられますが、治療の選択肢を少なくすると両親の負担が多くなりすぎると思います。ステロイド剤も試してみることをすすめます。しかし、大変ですがステロイド剤を使わなくても治療は不可能ではありませんし、最終的に治る時期にも大差はありません。

急なアトピーの悪化

アトピーでは急に湿疹が悪化することがあります。多くは細菌やヘルペスウイルスの感染によるものです。細菌感染で皮膚がジュクジュクしたときには消毒・殺菌作用のある軟膏や内服剤による治療が必要です。ヘルペスウイルス感染のときには専用の内服薬や軟膏で早く治せます。急な悪化のときにはすぐに受診してください。

治療するのは医師?

アトピーを治療するのは医師ではありません。医師はお母さんと一緒に、それぞれの子どもにあった方法を探していきます。この過程でお母さんが経験をつむことができ、お母さんだけでもアトピーのほとんどのトラブルに対応できるようになります。子どもにいちばん身近なお母さんが子ども専属の医師になることが理想です。

※ 本コラムの掲載内容は当時の小児医療から記載しているものです。現状と異なる場合もございますので、ご了承ください。