インフルエンザとタミフル
インフルエンザの診断と治療箱の10年間で大きく変わりました。インフルエンザの検査が数分で出来るようになり、インフルエンザの治療薬のタミフルが小児でも使えるようになったためです。しかしタミフルの使用を見直す時期になってきたようです。
タミフルの効果は?
タミフルの効果はそれほど大きなものではありません。インフルエンザの症状(発熱など)を90時間から70時間まで、20時間ほど短縮するだけです。高齢者や喘息などの慢性の病気を持つ子ども達以外には必要性は少ないのです。それでは合併症の予防にはなるのでしょうか?
インフルエンザ脳症では?
1歳~3歳児に多い合併症です。痙攣や意識が亡くなったりして発症します。毎年200人ほど発症し、死亡率が10%~30%と非常に高い病気です。ほとんどが発熱の数時間後から2日以内に発症し、タミフルによる予防効果はアリマセン。40度以上の高熱で発症しやすい合併症ですが、アセトアミノフェン(アンヒバ、カロネール等)以外の解熱剤はインフルエンザ脳症を重症化させるため使用してはいけません。大事なことは十分に水を与え、体温が上がり過ぎないように薄着にしておくことです。
異常行動では?
タミフルを飲んだ子ども達が自宅の窓から飛び降りて死亡する事故が報道されました。特に10歳前後の男児によく見られます。このため、厚労省は10台の子ども達にタミフルの使用を禁止しました。しかし、その後の調査ではタミフルの内服に関係なく、10%程度で異常行動が起こることがわかってきました。異常行動には、「おびえ」「うわごと」「ないものが見える」などから、命に関わる「飛び降り」や「突然の走り出し」まであります。異常行動による事故を防ぐために、発熱の2日以内は子どもが一人にならないように気をつけて下さい。
タミフルが効かない?
抗生剤が効かない細菌(耐性菌)が増えているのが問題になっていますが、タミフルが聞かない耐性インフルエンザが急速に増えています。ヨーロッパでは去年からインフルエンザの15%が耐性となり、特にノルウェーでは70%がタミフルに耐性となっています。日本ではきょねんまでは2%ていどでしたが、ことしのAソ連型では100%たいせいかしています。またたみふるはB型には効果が少ないので、現在では3種類のインフルエンザのうちA香港型を除いた2種類でタミフルが効かなくなっています。
タミフルの過剰使用?
海外ではインフルエンザの検査もタミフルもほとんど使用されていません。日本だけでスイス製の製薬会社が生産しているタミフルの75%を使っています。タミフルの大量使用はタミフルが効かないインフルエンザを更に増加させる可能性画があります。タミフルやリレンザは高齢者や障害者などのインフルエンザで命に関わる方に優先する必要があります。