院長コラム

インフルエンザの季節です

こどもの感染症

昨年は新型インフルエンザが大流行しました。今年も新型?インフルエンザの流行が予想されています。昨年のインフルエンザをまとめてみます。

●新型インフルエンザの合併症

呼吸障害 発熱から24時間以内に発症します。呼吸が速くなり、息苦しくて眠れなくなります。喘息の子どもによくみられます。
インフルエンザ脳症 発熱から24時間以内に発症します。痙攣や異常な言動で始まり、意識がなくなります。痙攣は熱性痙攣とは異なり長く続きます。異常言動も多く、いない人やアニメのキャラクターが見えるなどの幻覚がよくあります。また、ひどく怯えることもあります。意識がなくなると、名前を呼んでも、揺さぶっても反応がみられなくなります。

●薬で合併症は防げない

残念ながら、早期に病院を受診し、タミフルやリレンザを早期に開始しても合併症は防げません。これらの薬には早期の効果がなく、48時間以降に解熱効果が見られるだけです。しかし、ほとんどの合併症は発熱から24時間以内に発症するからです。

●合併症の予防法 

確実に予防できる方法はありませんが、ある程度の対策は考えられます。
呼吸障害 喘息を持つ子どもによくみられます。このため、喘息を持つ子どもでは、熱に気づいたら、すぐに喘息予防薬の内服や吸入を開始してください。
インフルエンザ脳症 脳症は体温が高いほど、特に40℃を超えるときに発症しやすくなります。このため、脳の温度を下げることは大切です。しかし、解熱シートを額に貼っても意味がありません。冷蔵庫の中を温めるのにドアに使い捨てカイロを貼るようなものです。脳を冷やすには、冷たい血液を脳にたくさん流す以外に方法はありません。血液を冷やすには、薄着にして皮膚を直接空気にさらすことが大切です。毛布で包んで温めるようなことは絶対にしてはいけません。脇の下など体の一部だけ冷やしても効果はありません。また、血流を増やすためには、水分を十分与えることが必要です。

●大切なことは? 

熱がでたときに、すぐに病院を受診し、インフルエンザ薬を早く使用しても合併症は防げません。家庭で十分に水分を与え、薄着にしておくことがはるかに大切です。喘息があれば予防薬を開始してください。急ぐ必要があるのは、呼吸が苦しいとき、痙攣が続くとき、意識がはっきりしないときだけです。

●新しいインフルエンザ薬 

新しいインフルエンザ薬イナビルが登場します。効果は従来のタミフルやリレンザとほぼ同等ですが一回の吸入で済むのが利点です。ただ、吸入薬なので乳幼児では使用できません。

※ 本コラムの掲載内容は当時の小児医療から記載しているものです。現状と異なる場合もございますので、ご了承ください。