ワクチンの同時接種
ヒブワクチンの品不足も解消し、ヒブや肺炎球菌ワクチンの接種希望者が増えてきました。このため、いくつかのワクチンを同時に接種することが多くなってきました。
●同時接種が必要な訳は?
ワクチンの数が増えると、別々に接種することが不可能になります。三種混合ワクチンに含まれる百日咳は生後6ヵ月以前に罹ると重症になりやすく、死亡することもあります。ヒブや肺炎球菌による髄膜炎は生後6ヵ月以降から急激に発症が増えていきます。このため、この3つのワクチンは6ヵ月までに接種を済ませるのが理想です。しかし、この3つのワクチンはそれぞれ3回の連続接種が必要なので、別々に接種すると毎週のように予防接種を受けることになります。
●海外の状況は?
海外では、生直後からB型肝炎ワクチン、生後2ヵ月から三種混合ワクチン、肺炎球菌ワクチン、不活化ポリオワクチンの接種が開始されます。このため生後2ヵ月の赤ちゃんに5本のワクチンを同時に接種しています。このように海外では長年にわたり、たくさんのワクチンの同時接種が安全に行われています。
●おすすめのスケジュール
BCGやポリオなど、集団接種されているワクチンと、他のワクチンの同時接種はできないため、地域により接種方法が異なってきます。
生後2カ月からヒブワクチンと肺炎球菌ワクチンの同時接種を開始します。4週間後の生後3ヵ月から三種混合ワクチンを加えて3つを同時に接種します。このようにして、ヒブワクチン、肺炎球菌ワクチン、三種混合ワクチンをそれぞれ3回接種していきます。
BCGが個別接種の地域ではBCGを含めて4種類のワクチンを同時に接種することもできます。BCGが集団接種の地域では、他のワクチンからBCG接種まで1週間あけ、さらにBCG接種から他のワクチンの接種まで4週間あけなければなりません。主治医と相談してください。
1歳を過ぎると、麻疹・風疹混合ワクチンが始まります。このときも、水痘とおたふくかぜを含めて3つのワクチンを同時に接種することができます。
●ポリオの生ワクチン
国内では30年以上ポリオの発症はありません。しかし、毎年ポリオの生ワクチンによる麻痺が発症しています。先進国では生ワクチンを廃止して、安全性の高い不活化ワクチンの注射に切り替えています。このため、ポリオの生ワクチンは急いで接種する必要はありません。10~11月にポリオの集団接種がある地域では、この期間にインフルエンザワクチンを2回接種して、ポリオは翌年の4月~5月に遅らせてもよいでしょう。