院長コラム

食物アレルギーの診断と経口負荷試験

食物アレルギーアレルギー

負荷試験は「認可を受けた小児科」では日帰りで行えます。 

食物アレルギーのため保育園や学校で卵・牛乳・小麦などを除去するには診断書が必要です。このため、3月~4月にはたくさんの子供さんが食物経口負荷試験(負荷テスト)をうけられています。当院でも毎年500人ほど日帰りで負荷試験を行っています。

食物アレルギーとは? 

卵アレルギーがあると卵を食べた直後にじん麻疹がでたり、時間が経って湿疹が悪化することがあります。お誕生前の赤ちゃんで湿疹があれば検査で7割に食物アレルギーがみつかります。卵白・牛乳・小麦などです。

アレルギー検査 

アレルギー検査には皮膚を針で擦ったあとに食物エキスを付けて皮膚の腫れをみる試験(プリック試験)と血液検査(RAST法)があります。皮膚検査は結果がすぐにわかるため初診のときに行っています。経過を見ていくには血液検査が有用です。

食物除去とは? 

例えば、検査で卵にアレルギーが見つかり、この食物を除去してじん麻疹や湿疹がよくなった場合は卵がアレルギーの原因だと判断できます。このときは、卵の除去を開始します。

食物除去の問題 

食物除去はお母さんにとって非常に負担です。アレルギーの子どもを持つお母さんの会でお話したとき一番多い不満は、いつまで除去を続けたらよいのかの指示が無いということでした。開始の指示だけで中止時期の説明がなければ困りますね。

除去中止と負荷テスト 

小児科医の間でも基準はかなり違います。当院では卵・牛乳・小麦などでは血液検査も参考にして、1歳6ヵ月を除去中止の目安にしています。しかし、除去食品を突然食べさせると、強いじん麻疹などの症状がでる危険性があります。このため、除去食を解除する前に負荷テストを行い安全性を確認します。当院では卵では加熱したゆで卵や薄焼き卵を1さじから、牛乳では1cc~5ccから、小麦ではうどんを1さじから始め、それぞれ30分ごとに増量しながら与えていきます。加熱した卵で1個、牛乳で100cc程度、小麦でうどん半玉程度が目標です。2歳までには8割が目標まで食べられるようになっています。

負荷テストの必要性 

負荷テストの途中でじん麻疹などが出た場合は,テストを中止しアレルギー薬を与えて症状を抑えます。じん麻疹がでても、どの程度までは安全に食べられるのかの目安を知ることができます。集団生活が始まると必ず誤って除去中の食物を食べる事故が起こります。このとき、まったく食べたことがなければ緊急対応の判断ができないからです。負荷試験については、かかりつけの先生とご相談ください。

※ 本コラムの掲載内容は当時の小児医療から記載しているものです。現状と異なる場合もございますので、ご了承ください。