小児の中耳炎の治療は必要?
中耳炎は「迷信」だらけの病気です。
「治療しないと耳が聞こえなくなる」とか、「中耳炎には抗生剤や鼓膜切開が必要」などが信じられています。
実は中耳炎の多くは自然に治ることが解っていて、抗生剤や鼓膜切開をしない治療が世界中で行われています。
中耳炎は鼻水と同じカゼ症状の一つです
中耳は鼻の奥と細い管で繋がっています。鼻水が出るときは耳水も出て、鼻に流れます。
耳水が増えて中耳に溜まった状態を中耳炎と呼びます。
カゼで鼻水が出るときには、よく無症状の中耳炎になっています。
鼻水が止まれば耳水も止まります。ただ、中耳から耳水が流れ出して中耳炎が治るまでに数ヵ月かかることは普通のことです
中耳炎の治療
発熱 ウイルスによるカゼの熱なので抗生剤は効きません。解熱剤で対応します。
痛み 痛みがあれば解熱剤を使います。
耳漏 耳水が急増すると鼓膜が破れて耳漏が出ますが、耳を洗って止まるのを待ちます
抗生剤が必要なとき
稀に中耳に細菌が侵入し痛みや熱が長引くことがあります。このときは血液検査で細菌感染が解ったときにだけ抗生剤を使います。
当院で毎年経験する約2000例の中耳炎で抗生剤を使う例は20例程度(約1%)です。
抗生剤は川崎病の原因となる可能性があり、慎重な使用が大切です。
※ 本コラムの掲載内容は当時の小児医療から記載しているものです。現状と異なる場合もございますので、ご了承ください。