アトピー性皮膚炎|簡単な治療のすすめ
子どものアトピー性皮膚炎を完全に治すことはできませんが、ほとんどは自然に治っていきます。また,さまざまな有効な薬もあります。できるだけ簡単な治療で対応するのが賢明です。
アトピー性皮膚炎(アトピー)は治せません。が、自然に治る(自然治癒する)のです。
子ども(こども)の湿疹は、ほとんどアトピー性皮膚炎と診断されるため、アトピーという病名に特別な意味はありません。すべて「子どもの湿疹」と理解してください。
●民間療法に効果がある?
10年ほど前まではアトピーにさまざまな民間療法が行われていました。効果がない薬を使うので、ひどい湿疹が続きます。しかし、親は治療に必要な「毒だし」の期間と信じて不満は持たれません。さらに、ほとんどの子どもたちの湿疹が数年後に急速に治ってしまうのです。親は当然民間療法の信者になります。では、民間療法に本当に効果があったのでしょうか?
●治せません。が、治ります
私は、民間療法に効果があったとは考えていません。成長とともに皮膚が強くなり自然に治ったのです。ほとんどのアトピーは治療をしてもしなくても、自然に治っていきます(稀な例外はあります)。民間療法が成り立つのは必ず治る病気だからです。高額なお金を払った親を絶対に裏切らない賢いビジネスですね。
●アトピー=食物アレルギー?
食物アレルギーはある食品を食べると蕁麻疹がでる体質のことで、食物アレルギー=アトピーではありません。ただ1~2歳までは食物アレルギーとアトピーが同時にみられることがよくあります。アトピーの原因は皮膚が刺激に弱いことです。よだれや汗、服の刺激などと同様、アレルギー食品を食べると湿疹が悪化します。しかし、卵アレルギーの子どもに卵を完全に除去しても湿疹が軽くなることはあっても消えることはありません。ただ2歳を過ぎると食物アレルギーの影響は少なくなり、食物制限もほとんどの子どもで不要になります。
●ステロイド剤は無効?
アトピーの治療で使われる塗り薬は、保湿剤とステロイド剤の2つだけです。保湿剤は湿疹を予防しますが、治す効果はありません。湿疹を治す効果があるのはステロイド剤だけです。ただ、ステロイド剤を塗っても効果は一時的ですぐに悪化するという不満をよく聞きます。しかし、一回塗ってそのまま湿疹が消える魔法の薬はありません。お化粧と同じで、ステロイド剤の効果も一時的なのです。実際の治療は「湿疹が悪くなったらステロイド剤を塗る。よくなったら塗るのをやめる。あるいは忘れる」がほとんどです。このような治療を繰り返しているうちに湿疹は自然に治っていきます。
●ほどほどの治療でOK
熱心にお薬を塗れば間違いなく良くなります。放置すればひどい状態になります。しかし、治る時期には変わりがありません。育児にはほかにも大切なことがたくさんあります。アトピーにはほどほどの治療でよいと思います