小児用の「肺炎球菌ワクチン」が始まります

来年から小児用の「肺炎球菌ワクチン」が接種できるようになります。既に始まっている「ヒブワクチン」と「肺炎球菌ワクチン」があれば、子どもの発熱であわてる必要がなくなります。

抗生剤が緊急に必要な病気は？

抗生剤が緊急に必要となる病気は稀で、血液の中に細菌が入り込んだ「菌血症」と脳を包む髄液の中に細菌が入り込んだ「細菌性髄膜炎」だけです。これ以外に一刻も早く抗生剤による治療が必要な病気はほとんどありません。普通の病気では抗生剤による治療が２～３日遅れても命にかかわることはありません。

「菌血症」と「細菌性髄膜炎」

５歳未満の子どもの発熱では５００人に１人が「菌血症」になっています。これ以外の発熱のほとんどは抗生剤が不要なウイルス性のカゼなのです。「菌血症」はこのように稀ですが、放置すると一部は重症の「細菌性髄膜炎」になります。「菌血症」は毎年全国で２～３万人ほど発症し、この中の２千人ほどが「細菌性髄膜炎」になっています。菌血症のときに抗生剤の内服では細菌性髄膜炎に進行することを完全には防げないため抗生剤の点滴が必要です。細菌性髄膜炎は重症で、死亡率が５～10％と高く、後遺症も25％程度にみられます。このため、ただちに入院して抗生剤の点滴が必要です。しかし、発熱の初期に「菌血症」や「細菌性髄膜炎」と自然に治る「カゼ」とを確実に見分ける方法はありません。どのような検査をしても１／３程度は見逃されます。

「菌血症」と「髄膜炎」の原因は？

菌血症の80％は肺炎球菌が原因で15％はヒブ（Ｈｉｂ・インフルエンザ菌ｂ型）が原因です。細菌性髄膜炎ではヒブが60％で肺炎球菌が20％です。このように肺炎球菌とヒブの２つの細菌が菌血症と細菌性髄膜炎のほとんどの原因となっています。このため、肺炎球菌とヒブによる感染が予防できれば、緊急に抗生剤が必要な病気がなくなってしまうのです。

この２つの菌に対するワクチンは欧米では普通に接種されています。アジアでも、香港では無料の定期接種となっています。韓国や台湾では有料ですが、ヒブワクチンの接種率は80％、肺炎球菌ワクチンは60％ほどです。

肺炎球菌とヒブのワクチンは？

この２つのワクチンを受けていれば、発熱であわてる必要がなくなります。夜間や休日に熱が出ても、急患センターを受診して抗生剤をもらう必要はありません。緊急に抗生剤が必要な菌血症と細菌性髄膜炎の可能性が事実上なくなるからです。

２つのワクチンがあれば

ヒブワクチンは金太郎、肺炎球菌ワクチンは桃太郎。２人であなたのお子さんを24時間・年中無休で守ります。