院長コラム

ヒブ・小児用肺炎球菌ワクチンは子供の発熱の対応を変える!

ワクチン(予防接種)

 子供(子ども)はよく夜中に熱を出します。しかし夜間に熱がでた子どもをすべて救急病院に連れていく必要はありません。実際に発熱のほとんどは、そのまま治っていくウイルス性の「カゼ」なのです。ただ乳幼児ではすぐに抗生剤による治療が必要な重症の病気が稀に紛れ込んでいます。しかし、ヒブワクチンと肺炎球菌ワクチンを接種しておけばこのような重症の病気が事実上なくなります。
 子どもを救急病院へ連れていくかどうかの判断で大切なことは、子どもの「年齢」、「熱の高さ」、「状態」、それに「ヒブワクチン・肺炎球菌ワクチン」の接種の有無なのです。

●「年齢」と「熱の高さ」

年齢が低いほど,体温が高いほど重症の病気の可能性が高くなります。
・3ヵ月未満 3ヵ月未満の赤ちゃんは熱の高さにかかわらず重症になりやすいため、できるだけ早く受診してください。
・3歳未満 39℃以上の熱のときには重症の可能性があります。

●「状態」

小さな子どもの「状態」を判断することは簡単ではありません。米国では6つの項目で「状態」を判断しています。
①「泣き声は?」元気よく泣きますか?泣き声が弱々しくはないですか?
②「親への反応は?」抱きあげて、あやしたときに、元気に手足を動かしますか?体を動かさずにだらりとしていませんか?
③「眠っているようすは?」すやすや寝ていますか?起こそうとしてもすぐに眠り込んだりしませんか?
④「目の動きは?」周りをしっかりみて,お父さんやお母さんをちゃんと見つめますか?笑わずにぼんやりしていませんか?
⑤「顔色は?」血色はいいですか?青白くなっていませんか?
⑥「脱水では?」皮膚にはりがありますか?目が落ちくぼんでいませんか?
 それぞれの項目で全く問題がなければ1点、やや気になるときは3点、非常に気になるときには5点をつけて合計点数を計算します。合計点が10点以下のときは「状態」がよいと判断でき,重症の病気の可能性はほとんどありません。

●ヒブと肺炎球菌ワクチンの接種者

ヒブワクチンと肺炎球菌ワクチンの接種が完了していれば緊急に治療が必要な菌血症や髄膜炎の心配が事実上なくなります。このため、ぐったりしているとき以外は救急病院を受診する必要はありません。接種完了とは1歳未満ではそれぞれ3回の接種、1歳以上では4回の接種が完了していることです。

●ワクチン未接種者の救急病院受診の目安

3ヵ月未満 38℃以上の発熱があればすぐに受診させてください。
3歳未満(3ヵ月以上)の乳幼児 39℃以下で「状態」がよければ翌朝まで受診を待ってもよいでしょう。39℃以上のときには受診をすすめます。
3歳以上 ぐったりしているときを除き、夜間に受診する必要はないでしょう。

※ 本コラムの掲載内容は当時の小児医療から記載しているものです。現状と異なる場合もございますので、ご了承ください。