院長コラム

赤ちゃん、妊婦さんにとっての 新型コロナウイルス感染症?両親や妊婦さんへのワクチン接種の勧め

こどもの感染症

赤ちゃんや子どもの新型コロナ感染

 2020年から始まった新型コロナウイルスの流行はまだ続いています。特に高齢者や持病のある方が重症化しやすい病気です。また変異したデルタ株は感染力が強くなっています。 しかし、赤ちゃんや子ども達にとっては新型コロナの感染はただの軽い風邪と同程度の感染症であることが解っています。 デルタ株により子どもへの感染も増えてきていますが、やはり軽症のままです。国内で子どもの死亡は1例もありません。   このように新型コロナは子どもにとってはインフルエンザやRSウイルスより、はるかに軽い病気です。 新型コロナワクチンは12歳以上が対象なので、小さな子ども達への対策は、周囲の大人が感染しないように注意して行動することと、ご両親が積極的にワクチンを接種することです。

妊婦さんと新型コロナ感染

 妊娠中の新型コロナで同年代の女性と比べて重症化しやすくなることはありません。ただ、肥満や妊娠高血圧、糖尿病などがある方は注意が必要です。さらに、最近の調査から、妊婦さんが感染すると早産や死産が増え,産まれてきた赤ちゃんの入院も増えることがわかってきました。その他にも、妊娠中に感染すると自宅で家族と普通に過ごすことや、産まれてきた赤ちゃんに会うこと、普通に授乳することなどが出来なくなり大変です。

妊婦さんへの新型コロナワクチンの勧め

 新型コロナウイルスワクチンは、感染予防や重症化予防に大きな効果があることがわかっています。ワクチンはそのメリットとデメリットを比べて、メリットが大きい場合にのみ接種が勧められます。 妊婦さんに対してのワクチン接種のメリットは、先に示したように、母体への感染や重症化を防ぎ、赤ちゃんへの影響を減らすということです。ではデメリットはどうでしょう。新型コロナウイルスワクチンの副反応として、若い女性で発熱が多いことが知られていますが、その頻度は妊婦さんと非妊婦さんで変わりません。 おなかの赤ちゃんへの影響を心配される方も多いようです。ワクチン接種した3万5千人の妊婦さんの調査から、予防効果は高く、流産や胎児奇形などに影響しないことが解っています。 また、ワクチンで不妊になるとか,将来にわたる遺伝子の異常による危険性についての「うわさ」がSNSなどで多数流されています。 しかし,このような危険性はファイザーやモデルナのワクチンの製造方法からみてありえません。

まとめ

 妊娠前や妊娠中でもワクチン接種をお勧めします。不安がある方は、事前に妊婦検診を行っている産婦人科の先生に相談したうえで接種をされるのがよいでしょう。

※ 本コラムの掲載内容は当時の小児医療から記載しているものです。現状と異なる場合もございますので、ご了承ください。