院長コラム

予防接種鎖国の日本

ワクチン(予防接種)

日本は予防接種に関して、まるで鎖国をしているようです。日本の定期予防接種は海外諸国と比較して極端に少ないのです。WHO(世界保健機構)は、各国の政府に子どもに必用なワクチンを勧告していますが、日本は全く無視しています。日本に無いワクチンの代表はHib(ヒブ)ワクチンです。Hibはインフルエンザ菌b型の略ですが、これは冬に流行するインフルエンザ・ウイルスではなく、細菌性髄膜炎を起こす細菌です。

Hibワクチンと肺炎球菌ワクチン

Hibは、細菌性髄膜炎の原因菌の70%を占めています。日本では年間600人の子どもがかかり、50人が死亡し100人が後遺症を残しています。海外では20年も前から100カ国以上でこのワクチンが開始され、すでにHib髄膜炎は消え去った病気とされています。しかし、日本ではいまだに認可もされていません。信じられないですね!
肺炎球菌は、肺炎の原因で一番多い細菌です。また、Hibと同様に細菌性髄膜炎の原因にもなります。海外では2000年から肺炎球菌ワクチンが開始されました。このため、肺炎球菌による肺炎は80%も減っています。

六種混合ワクチン

海外では生後4~6カ月までに、~@三種混合ワクチン(ジフテリア、百日咳、破傷風)、~AB型肝炎ワクチン、~BHibワクチン、~C不活化ポリオワクチン(ポリオの生ワクチンは、稀にポリオが発症する危険性があるため廃止する国が増えています)を同時に計3回接種します。さらに、海外では~@~A~B~Cのワクチンを一緒にした六種混合ワクチンが実用化され、急速に普及しています。日本で実施されているのは~@の三種混合ワクチンだけなのです。とても寂しいですね。  

四種混合ワクチン・MMRVワクチン

おたふくかぜ(オタフク)のワクチンは、海外では25年も前からMMR(麻疹、オタフク、風疹の三種混合)ワクチンとして計2回の接種となっています。現在MMRワクチンを実施していない国は日本を含め12カ国だけです。海外ではオタフクは既に過去の病気となっていますが、日本では毎年数十万人もかかり、小児で2000人、成人で1000人もオタフクの合併症である難聴になっています。これも信じられないですね。海外では、MMRに水痘(みずぼうそう)を加えた四種混合ワクチン・MMRVワクチンも急速に普及しています。日本では、今年から麻疹・風疹混合ワクチン・MRワクチンの2回接種を始めています。しかし、こんな時代遅れのMRワクチンを行っている国は他にはありません。

日本の本当の実情を知ってください!

予防接種鎖国の日本の子どもにも、世界の国の子どもたちと同じように、ワクチンで予防できる病気はワクチンで予防してあげたいですね。

※ 本コラムの掲載内容は当時の小児医療から記載しているものです。現状と異なる場合もございますので、ご了承ください。