抗生剤の使用方針

抗生剤の使用方針

私の仲間の小児科医と一緒に作った「抗菌薬の適正使用のガイドライン」を原則としています。
現在,このガイドラインは多くの小児科医から支持されています。また世界の小児科医の評価を受けるため英語版も作成しました。海外の小児科医からも高い評価を受けています。

耐性菌

安易な抗生剤の使用は抗生剤の効かない菌を増やすことにつながります。

腸内細菌への影響

抗生剤が正常な腸内細菌のバランスを破壊して,さまざまな病気の原因となることが解ってきました。

川崎病

日本に多い川崎病の原因が抗生剤の過剰使用が原因となっている証拠が見つかってきました。これも腸内細菌の破壊が引き金になっています。

抗生剤は細菌感染症の治療薬

抗生剤は細菌感染にのみ有効で,細菌感染症ではないウイルス感染症には使ってはいけません。抗ガン剤をガン以外に使ってはいけないのと同じです。

抗生剤の処方が必要な病気

抗生剤が必要な病気は多くはありません。
溶連菌
扁桃炎があるときに迅速検査で診断できます。
菌血症
乳幼児の高熱のときにみられます。血液検査で早期にある程度診断できます。
尿路感染症
1歳未満の子どもの熱では,尿の検査が必要です。正確な診断には膀胱にカテーテルを入れて尿をとります。

抗生剤が不要な病気

中耳炎
通常の中耳炎はカゼ(ウイルス感染)で発症するため抗生剤は不要です。稀に痛みや発熱が2~3日持続し,血液検査結果も悪いときは乳様突起炎が疑われるため抗生剤を使用します。
副鼻腔炎(蓄膿症)
カゼ(ウイルス感染)で発症するため,「あおばな」にも抗生剤は必要ありません。
下痢
通常の下痢には抗生剤は不要です。便の血液反応が強く食中毒が疑われ,重症のときにだけまれに使用します。
トビヒ
通常のトビヒには抗生剤は不要です。水疱ができて広がっているときにだけ使用します。